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ゲンバビト

by 加藤 130

スピンオフ 第五話

偏見と差別

ミラノを後にして、僕はパリに飛んだ

ガッカリしたんだ

道を見ると

タバコの吸い殻や犬のフンだらけ

歩道も狭く、歩くのにもストレスがかかりやがる。

描いていた花の都・・・・

(空想と妄想で成り立っていた街だった)

日本人を乗せた観光バスが

ブランドストリートに到着して

皆がこぞってエルメスに入っていった

僕も、ウインドー越しにその様子を伺うと、電卓を手にして

必死で高級バッグの争奪戦を行っていた。苦笑いする店員をよそに

彼女達はマナーもへったくれもない

関係なく大声でぺちゃくちゃ喋りながら、モノを手にしては元の場所に無造作に置き、またお宝を漁る

滑稽だった・・・・

海外で日本人はこんなに下品に振る舞っているのか?と現実を目の当たりにして、少しショックだった

ヴァンドーム広場の近くのショウルームで、フランソワという青年に会った

彼はデンマークのブランドの

クリエイティブディレクターをやっていて、僕のカタコトの英語に

真摯に付き合ってくれた

初めて洋服をオーダーする

コレクションのルックブックを観ながらオーダーをして

「夜、パリを案内するから

ディナーでもどうだい?」と誘ってくれた、「今日は疲れてるから、明日でも良いかい?」と尋ねると

「もちろんだよ」と明日の約束をした。

「腹減ったな」

オペラ付近のカフェに入った

店内はガラガラだった

「こちらへ」とスカした店員が

僕を席まで案内した

トイレの前だ

「席を変えてくれないか?」

「席はここしかない」

「店内はガラガラだろ?」

「全て予約で埋まっている」

そういうやりとりをしていると

2人の白人カップルが入ってきた

店員は笑顔で

窓際を案内する

どうみても予約をしている様子もない。

初めて気づいた

(これは差別だな)

小馬鹿にしやがって

アジア人は欧州で差別されると

噂では聞いていたが

まさか自分自身がその餌食になっているとは・・・

不快だ、吐き気がする

昔、在日中国人の

ヒデキさんが言ってたな

「功希、日本は差別だらけだ

だから俺たちはそういう気持ちを怒りに変えてるんだ」

(ヒデキさん、違うぜ

世界が差別だらけなんだ)

「おい」

その店員を呼んだ

ぶっきらぼうに「なんだ?」と答えた

一ユーロをそいつに投げつけて

店をでた

そいつはアジア人がまさか

自分に攻撃してくるとは思っていなかったらしく、茫然とその場に立っていた。もしも10代だったら

(舐めてんじゃねえぞ)

口よりも手の方が出ていただろうが

そんなバカな事をしに

僕は憧れのヨーロッパに来た訳じゃない、(仕事で来てるんだ)その責任感は己に気高さを与えてくれる

僕に足りない一番の弱点

(誇りと尊厳)こんな僕を

誰が相手してくれる?

これからは、色んなバケモノと対等に喋らなきゃならねえ

ボキャブラリーに乏しい僕は

本を読むしかない

そしてどんな人間に対しても物怖じしない人間にならなきゃならねえ

こんな所で怒りに任せて

己のレベルを下げてりゃ意味がねえ

カフェを出て

深呼吸してパリの街並みを見た

「小せえなあ」

井の中の蛙

まさに今の僕だ

だけど差別はいけねえ

だから

僕は服屋を選んだ

服って奴は、誰もが楽しめる

装いの美学がある

人種 言語 国 そんなもの超越して

理屈じゃなく

一張羅に袖を通せば

ヒトは幸せな気分になるんだ

「服でヒトが幸せになる世界」

未来への構築

格好つけた言い方をすると

自分自身のビジョンが

この腐り切った花の都で

(芽生えた)

その芽生えは根がない雑草と同じ

だけど抜かれても抜かれても

アスファルトの隙間からでも

僕は絶対に生えてづけてやると

心に誓った、

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